ボトックス注射は、ボツリヌス菌から抽出されたA型ボツリヌス毒素を使用し、筋肉の過剰な収縮を抑制する治療法です。
これにより、シワの改善や多汗症の治療、筋肉の痙攣(けいれん)の緩和など、さまざまな効果が期待できます。
このように、ボトックス注射は美容目的だけでなく、医療的な治療にも広く利用されていますが、保険適用の有無は施術の目的や部位によって異なります。
ここでは、ボトックス注射が保険適用となるケースやその条件についてわかりやすくご紹介しますね。

1. ボトックス注射が保険適用となるケース
ボトックス注射が保険適用となるのは、以下のような医療的な目的で使用される場合です。
■ 重度の原発性腋窩多汗症(ワキガ)
脇の下の過剰な発汗に悩む重度の原発性腋窩多汗症(ワキガ)の場合、ボトックス注射が保険適用となります。
「重度の」というのは、悪臭が著しく他人の就業に支障を生じる事実が明確で、客観的に見て医療に委ねる必要がある場合とされていて、診察したお医者さんの判断によるので、厳密な数値基準は設けられていません。
(ただ「汗をかきやすい」「単に気になるだけ」というだけでは保険適用にはならないのは確実です)
さらに、保険適用になるには、
- ・6ヶ月以上症状が続いていること
- ・両側性かつ左右対称性に多汗がみられること
- ・日常生活に支障が生じていること
- ・週1回以上の頻度で多汗エピソードがみられること
のほか、発汗の程度も考慮されるなど、保険適用の条件はなかなか厳しいものになってます。
なお、手や足、顔、頭部の多汗症に対するボトックス治療は保険適用外です。
■ 眼瞼痙攣や片側顔面痙攣(けいれん)
まぶたや顔の片側が不随意に痙攣する症状に対しても、ボトックス注射は保険適用となります。
■ 痙性斜頚や上・下肢の痙縮
脳卒中の後遺症として首や四肢の筋肉が過度に緊張し、動きに支障をきたす場合にも、ボトックス注射が有効であり、保険適用の対象となります。
■ 保険適用外となるケース
一方、美容目的でのボトックス注射、例えばシワの改善やリフトアップなどの場合は、保険適用外となって全額自己負担(自費診療)となります。
2. まとめ
ボトックス注射は、その施術目的や部位によって保険適用の可否が異なります。
医療的な目的で使用される場合、特定の条件下で保険適用となりますが、美容目的の場合は適用外となります。
施術を検討されている方は、事前に医療機関で詳しい説明を受け、保険適用の可否や費用について確認するようにしてくださいね。